「な、なんだ！？この音は？？」

　たまたま通りがかったサラリーマンが、異様な物音を聞き付け、様子を伺いに来たのだ。
　その数分後、彼は凄惨な現場を目の当たりにするなどとは夢にも思わなかっただろう。

「むう。リサはまだ帰らんのか。彼女の身になにもなければよいが。」

　リサが所属するＭＳＡＪ（モンスター・スウィーパー・アソシエイツ日本支部）のメンバーである「鉄」。彼は法力をあやつる破戒僧なのだ。しかし心根は優しく、リサを実の娘のように思っている。

「ジン、お前迎えにいってこいや。」

「そんなに心配なら鉄がいきゃいいだろーが？」

　鼠顔の少年は「ジン」。いわゆる超能力少年だ。彼はモンスター・スウィーパーにモンスター（リサ）がいることに不満をもっているらしいのだ。

「ただいま〜。」
　拍子抜けするぐらい明るい声が飛び込んで来た。リサの帰還だ。

「ほら見ろ。リサを心配するってことほど無駄なことは無いんだよ。鉄。」
ジンは吐き捨てるように言った。

「遅かったな。なにかあったのか？ん？？出掛けたときはチャイナだったはずだが・・・戦闘があったのか。」
　鉄はリサをまじまじと観察して言った。その顔は少し安堵で弛んだが、すぐいつもの険しい表情に戻った。